ステーキングは、「受動的所得(パッシブインカム)」を得る機会の1つと考えられており、仮想通貨市場で一つのトレンドとなっています。イーサリアムがPoS(Proof of Stake)に移行する一方で、多くのブロックチェーンが最初からコンセンサスアルゴリズムとしてPoSを使用しています。
ブロックチェーン以外にも、LivepeerやSynthetixなどのdApp(分散型アプリケーション)は、特定の目的のためにステーキングを採用し、参加者に報酬を提供しています。
ステーキングを介してネットワークの価値生成に参加する機会は増えており、市場は細分化し、成長し続けています。2020年のステーキング市場動向について、分散型システムのリサーチ機関CellframeのマネージャーVasily Sumanov氏がまとめました。
2020年4月19日 https://www.stakingrewards.com/
PoSを使用するブロックチェーンプラットフォーム
PoSコンセンサスに基づく最も知られているブロックチェーンプラットフォームの1つはTezos(テゾス)です。ICOを実施した2017年に注目を集め、現在は業界をリードしています。その他のプラットフォームには、Tron(トロン)、EOS(イオス)、NEM(ネム)、LISK(リスク)、QTUM(クアンタム)などがあります。
PoSコインのステーキングに参加するには、コインを購入し、ウォレットをインストールし、委任する必要があります。委任者は主にノードサービスプロバイダーから選ぶことになり、Staking Rewardsなどの情報サイトで見つけることができます。
このセグメントの報酬率はそれほど高くありませんが、低金利は相対的な安定性と結びついています。また、トークン価値の成長性と組み合わせることでバランスが取れています。
セカンドレイヤー・ソリューション
セカンドレイヤー・ソリューションもPoSとロジックは同じです。PoSコンセンサスを使用してネットワークを保護し、主に主要なブロックチェーンのトランザクションのアウトソーシングに特化しています。
すでに稼働している最も有名なプロジェクトは、Matic(マティック)ネットワークとLoom(ルーム)ネットワークです。
マスターノードコイン
「マスターノードコイン」とは、コンセンサスに参加する主要なエージェントとして、マスターノードが設定されたブロックチェーンを意味します。マスターノードは、コンセンサスへの参加が許可されている基本ユニットを指します。
このセグメントの代表格がDASHです。DASHのコンセンサスはPoW (Proof of Work+ マスターノード)で維持されます。マスターノードを起動するにはコイン毎に設定された最小預金を用意する必要があります。
DASHのマスターノードを設置するには1,000 DASHが必要です。他のプロジェクトに関して、PIVX、CloackCoin、などがあります。しかし、マスターノードを採用する詐欺プロジェクトも多いため、主要な取引所に上場していないような、時価総額の小さいコインでマスターノードを所有することはハイリスクとみるべきでしょう。
ステーキングを経済モデルのコア部分とするアプリケーション
このセグメントの代表格は、高品質のサービスプロバイダーに代わる分散型ビデオストリーミングプラットフォームLivepeerや、合成アセットの取引所Synthetixです。
このカテゴリーには、IDEXトークンやKucoin Shares(KCS)などのいわゆる「取引所トークン」も含まれます。いずれもトークン保有者に、アプリケーション(取引所)の使用料の一部が支払われるモデルです。
このタイプのプロジェクトのトークンは小規模な取引所にのみ上場しているケースがあり、流動性が低い可能性があります。暗号資産ATMとeコマースショップ向けツールを提供するプロジェクトPlatinCoinは、マーケティングとインセンティブ設計のためにトークンのステーキングを採用しています。
PlatinCoinはかなり若いプロジェクトで、最近トークンがBithumb(韓国)に上場したばかりです。また、ガバナンスプロセスでトークンを使用する、クロスチェーンDe-FiプラットフォームのKavaは、最初にBinanceに上場しています。
Sumanov氏は、10年以内に国債、大企業の株式、不動産などの資本が、分散型ネットワークや、dAppの運用をサポートするために使用され、ステーキング報酬を生み出しながら、ユーザーにサービスを提供すると考えています。
しかし、ステーキング市場は「成熟期」の始まりの段階であるため、かなり変動しやすいことに留意する必要があります。ステーキングは年利だけでなく、原資産の価格変動も考慮する必要があります。
したがって、プロジェクトの背景、実際の顧客基盤、コインの流動性など、詳細な調査に基づいて投資することが重要です。高収益を誇るステーキングプロジェクトほど、高リスクが伴うことを覚えておいてください。
参考 Will 2020 be Year of Staking?Exploring Passive Income in Cryptocurrencies