仮想通貨取引よりもお得なステーキングの基礎

ステーキングのロック率は仮想通貨の価格に影響を与えるのか?40%を超えるか否かが一つの指標に

仮想通貨分析会社Messariは、Proof of Stake (PoS)プロジェクトのステーキング率(流動性/供給枚数)と、年初来の価格の関係性をまとめました。基本的に価格は「プロジェクトのアナウンス」や「市場の動向」による影響が大きいですが、興味深い洞察も得られる資料となっています。

益々多くの投資家がPoSエコシステムに参加しており、報酬を求めてPoSコインをロックしています。ステーキング・インセンティブ(報酬率)やガバナンスや委任などトークンのユースケースはプロジェクト毎によって異なるため、ネットワーク毎にステーキング率にはバラつきがあります。

ステーキング率が高いとトークンの流通速度(資金の交換率)が低下し、売り圧力が低下するという考え方があります。しかし、実際にステーキング率は価格に影響を与えているのでしょうか?

Messariのデータによると、4月1日時点に供給枚数に対するステーキング率が40%未満のすべてのステーキングコインの年初来リターンはマイナスとなっています。一方、ステーキング率が80%を越える2つのネットワーク「コスモス(ATOM)」と「シンセティックス(SNX)」もまた、年初来リターンで大幅な値下げを記録しています。

これらの価格変動は、3月に暴落した市場動向により強く影響を受けていることは明白です。加えてMessariは、プロジェクト固有のアナウンスに影響を受ける傾向を指摘しました。

ダッシュ(DASH)は、今後のオンチェーンデータ・コントラクトの導入計画を発表しており、ネットワーク・ユーティリティの追加を目指しています。これはトークン価格を顕著に押し上げました。一方、コスモス(ATOM)は中心的な開発組織Tendermint Inc.が方針転換し、チームとディレクターの一部が独立するなど内部問題が表面化しました。

ネム(XEM)はネットワークリニューアル『SYMBOL』の計画を定期的に更新しており、年初来リターンもわずかなプラスを維持しています。リスク(LSK)は仮想通貨取引所Coincheckでステーキングサービスが開始となって以来、最大5倍に上昇しました。

ステーキング率が閾値40%を越えると、プロジェクトのファンダメンタルズがパフォーマンスにより顕著な影響を及ぼしているようです。特にステーキング率が80%を越える仮想通貨への投資について、個別プロジェクトの進捗をチェックできないユーザーは慎重になる必要がありそうです。

参考記事
Does the percentage of total tokens staked have an impact on price?
https://messari.io/article/does-the-percentage-of-total-tokens-staked-have-an-impact-on-price