仮想通貨取引よりもお得なステーキングの基礎

PoSがブロックチェーンの主流になるための「課題」と「展望」―ステーキングプロバイダーInfStones

2017年から2019年にかけて、Proof of Stake(PoS)の市場シェアは急成長を遂げました。2020年に立ち上がるネットワークの多くがPoSを採用しており、今後3〜5年でPoSがブロックチェーンにおいて主流のコンセンサスメカニズムになると期待されています。

ステーキングサービスプロバイダーInfStonesの CEOであるジョナサン・シー氏は、Proof of Stakeの展望とノードが対処している課題について語りました。

PoSメカニズムについて

経済的な観点から見ると、ステーキングはパブリックチェーンの報酬メカニズムを表すインセンティブモデルの一つです。ノード間の協力と競争を生むため、ステーキングにはコミュニティガバナンスの新形態という側面もあります。ステーキング・アズ・ア・サービス(SaaS)プロバイダーが登場し、エコシステムにおいて重要な役割を担い始めています。

PoSメカニズムにおいて重要な役割を担うノードサービスプロバイダーは、技術更新をフォローするだけでなく、PoSプロジェクトとそのコミュニティの健全な発展を促進するためにネットワークガバナンスにも注意を払う必要があります。

PoSノードには重要な誓約も存在します。ネットワークの信頼性とユーザーの危機につながるため、不安定なノードサービスには相応のペナルティが課されます。実際にコスモス・ネットワークでは一意のノードに対する大規模なスラッシュイベントが発生し、20,000枚以上のAtomトークンがペナルティとして没収されました。

ステーキングノードが対処する技術的課題

従来のインターネット業界では、「セキュリティ」と「信頼性」に矛盾はなく、システムの冗長構成を強化することで両方を高めることができます。しかし、PoSではセキュリティと信頼性のバランスを取ることが困難となります。

ブロックチェーンの場合はノードが冗長化されると、複数のノードが同時に次のブロックをリリースして二重署名が生じるリスクが増加します。
二重署名はコスモスのスラッシュイベントの原因となりました。一方、ノードが冗長構成を取らなければ単一障害点が生じてしまいます。そのような環境下では特定のノードがオフラインになるとシステム全体が停止するため、ネットワークの信頼性を脅かします。

「透明性」はブロックチェーンの重要な要素であり、多くのプロジェクトはコードをオープンソース化しています。しかし、コードのオープンソース化により、潜在的な攻撃者が脆弱性を発見して悪用し、システムを攻撃する場合があります。

「オンラインデータ転送」は、ブロックチェーンシステムが自身のブロックをブロードキャストしながら、データの読み書きも行い、サービスを稼働し続けることを意味します。これは走行中の車のタイヤを変えるのと同様に危険な行為ですが、そうしたニーズは頻繁に発生します。
例えば、アップグレードとスケーリングはどちらも既存のシステムをオンラインデータ転送で実行する必要があります。今後より多くのdAppsが登場すると、オンラインデータ転送の頻度も増加します。

仮想通貨取引所とステーキングノードプロバイダーの競争

ステーキングエコノミーの発展により、ノードプロバイダーは価格戦争に直面しています。

ステーキングノードが高いリターンを得る手段は、多くの投票(委任)を獲得することです。そのため、仮想通貨取引所を含む事業者はステーキング手数料を引き下げています。
しかし、多くのパブリックチェーンにおいてステーキングは単なる預金活動ではなく、コミュニティガバナンスが必要となるため、手数料が低いノードが必ずしも最大の投票数を集めている訳ではありません。最終的には総合的に最高の評判を得たノードが勝者となります。

ノードサービスプロバイダーの視点から、効果的な方法は運用コストを削減することです。人間ではなくマシンにマシンを管理させる方法が主流となりつつあります。ノードサービスプロバイダーは、24時間365日の自動アップグレード、自動管理、および自己回復を実現するために、スマートマネージシステムを導入しています。ノードサービスプロバイダーは、将来性の不確実な人件費を安定的なマシン台数に変えて、運用コストを大幅に削減しています。

また、特定のパブリックチェーンで計算リソースを多く消費していることを発見した場合、ノードサービスプロバイダーは問題を分析してオープンソースコードを再構築する場合があります。

この記事は、主要なステーキングサービス事業者InfStonesの CEOであるジョナサン・シー氏が9月に開催された上海国際ブロックチェーンウィーク2019のパネルディスカッション「新コンセンサス:ステーキング経済メカニズム」で語った内容に基づいています。

米国シリコンバレーのクラウドサービス及びブロックチェーンチームによって結成されたInfStonesは、世界で3番目のPoSプールです(Staking Reward調べ)。InfStonesは主要なPoSパブリックチェーンをカバーしており、イオス、トロン、ヴィチェーン、オントロジー、エラストス、IoTeX、ルーム、GXChain、バイトムなど有名なDPoSパブリックチェーンでスーパーノードとして選出されています。

参考記事

参考 Challenges and Solutions for Node Service ProvidersStaking Economy