イーサリアムはEthereum 2.0へのアップグレードによって「次世代のブロックチェーン」になり、数十倍も高速かつスケーラブルになります。4月にEthereum 2.0のテストネット「Topaz」がローンチされ、わずか数日以内に2万本以上のバリデーターが設置されました。メインネット・アップグレードの最初のプロセスは数か月以内にリリースされる予定です。
Ethereum 2.0が強気相場の引き金になると、仮想通貨アナリストやブロックチェーン専門家の一部は信じています。この記事では、イーサリアム・エコシステムに投資するMetaCartel Ventures DAOでパートナーを務めるAdam Cochran氏の投資テーゼに基づいて、2部構成の前半をご紹介します。
- サプライショック
- 繰り返しの購買ループ
- 個人投資家が市場に押し寄せる
ここではEthereum 2.0のリリースによって発生する、短期的な価格スパイクの3つの要因についてご説明します。
サプライショック
レントシーカー(大口投資家)は、安定した収益率を約3%~5%と考える傾向があります。従来の投資においても、こうした水準を下回るまで資金を投入する傾向があります。
そのためETHがPoS(Proof of Stake)に切り替わると、レントシーカーは3%~5%の範囲に到達するまでステーキングに資金を投入する可能性があります。
ETH2.0の報酬率が約3%~5%に到達するという事は、供給量の約10%~ 30%に相当する1,000万枚から3,000万枚のETH 2.0トークンがロックされている状況を意味します。ETH2.0の初期段階(フェーズ0)では、一度ロックしたETHを解放する手段はありません。仮に供給量の30%が市場から消えた時にサプライショック(財・サービスの供給を変化させ、財・サービスの価格を変化させるような突発的な出来事)は発生します。
全ての市場参加者(トレーダー、投資家、マイナー)は、レントシーカーになることができるため、通常、市場流動性を提供した人は売却をためらいます。サプライショックは、おそらく最初にレンディングプールとDeFiの流動性に影響を及ぼします。サプライショックは通常、商品の価格を大幅に上昇させます。
繰り返しの購買ループ
サプライショックによる価格上昇が起きた時、ステーキング参加者はイーサ建てで報酬率3%~5%のRoI(投資収益)を獲得するため、帳簿上のフィアット建ては遥かに高いリターンを得ることになります。
そして、前述のレントシーカーはフィアットのRoIが3%~5%に戻るまで投資し続けます。これは段階的に行われるため、価格への影響はラウンド毎に次第に小さくなりますが、最終的に第1ラウンドの最大3分の2に影響を与える可能性があります。
個人投資家が市場に押し寄せる
このサプライショックと繰り返しの購買ループにより、2017年に暗号市場を押し上げた個人投資家も購入を開始し、さらに大きな供給ショックを引き起こす可能性があります。個人投資家、特にFOMO(取り残されることへの恐れ)モードの投資家は、P/EやRSIを気にせず、市場の深さ(DEPTH)を考慮せずに「成買」します。
当時、Coinbaseのユーザー数は500万人にすぎず、Binanceなどの取引所でフィアット経由で暗号を購入することはできませんでした。フィアットを取引所に入金するまでに「ストップギャップ」のあった2017年とは異なり、FOMOは迅速に増幅される可能性があります。
現在、現金オンランプは至る所にあり、Coinbaseは3,000万人以上のユーザーがKYC(Know Your Customer:仮想通貨/暗号資産取引所の口座開設の際に求められる顧客確認のための本人確認書類・手続きの総称済み)で、すぐに利用できる状態です。イーサリアムの成長に関する主要メディアの報道があれば、これらのユーザーは同時にFOMOを実行できます。
この時、市場にデマンドショックが起こります。
サプライショックとデマンドショックが組み合わされている環境で、短期的な原動力となるFOMOが特にETH価格の急上昇を引き起こします。
参考 7 Reasons ETH2.0 Will Create The Next Economic Shift.medium