2017年、ICOによって2億3200万ドルを調達し、当時最大のICOの一つになったTezos。
Tezosとはどういうものなのかについて運営会社から特徴まで解説します。
Tezosの基本情報
運営会社 | Tezos Foundation |
通貨名称 | TezまたはTezzie (XTZ) |
通貨単位 | TezまたはTezzie (XTZ) |
WEBサイト | https://tezos.com/ |
ホワイトペーパー | https://tezos.com/static/white_paper |
Tezosは2018年6月にリリースされた仮想通貨です。
イーサリアムと同様に、Tezosはスマートコントラクトを使用するように設計されています。
ビットコインなどのシステムの弱点を克服するために作られたと言われているTezosですが、どのような方法でビットコインの弱点を克服しているのでしょうか。
Tezosの特徴
Tezosは以下の3つの特徴があります。
- オンチェーンガバナンスと自動改定(Meta upgrades)
- 形式検証(Formal Verification)
- LPoS(liquid proof of stake)
オンチェーンガバナンスと自動改定(Meta upgrades)で安全性のUP
Tezosが安全で民主的な仮想通貨と言われてる理由にオンチェーンガバナンスとMeta upgrades(自動改訂)という二つの機能があることが挙げられます。
オンチェーンガバナンスとMeta upgrades(自動改訂)とはいったいどのような仕組みなのでしょうか。
オンチェーンガバナンスとは?
オンチェーンガバナンスとは、ユーザーの意思決定によってシステムを修正することができるものです。
初期のほとんどのブロックチェーンは開発チームとマイニングコミュニティが新しい設計の選択肢を策定しています。
しかしTezosは、意思決定プロセスをユーザーのネットワーク自体に委ねています。
そうすることで、より民主的かつ公平性、透明性を持った運営を可能となるわけです。
大まかなTezosの運営方法は以下の通りです。
①初めにすでに保存されているブロックチェーンに変更の提案を送信
②変更提案に対し、Tezosを保有しているユーザーが投票
③投票の結果、提案が認められればプロトコルはコードの変更を組み込むためにシステムを更新
つまりTezosを保有しているユーザーの投票数に基づいて自動改訂の内容が決定するということです。
Meta upgrades(自動改訂)とは?
通常ブロックチェーンのシステムをアップグレードするには、ハードフォークさせる必要があります。
ハードフォークとは仕様の変更という意味です。通常、仕様が変更されると過去に使用していたものとの互換性を失ってしまいます。その結果、新たな仮想通貨が生まれてしまいます。
実際、ビットコインの数回にわたるハードフォークによって「bitcoin cash」や「bitcoin gold」などの新しい仮想通貨が生まれています。
このようにハードフォークが行われると、互換性の喪失だけでなく、不正が行われるリスクもはらんでいます。
しかし、TezosのMeta upgrades(自動改定)システムはハードフォークをすることなくシステムを修正・アップグレードすることを可能にしています。
このようにハードフォークを行わない自動改定システムを、オンチェーンガバナンスにのっとって実行しているため仮想通貨Tezosはより安全性の高い仮想通貨であるといえるわけです。
形式検証(Formal Verification)で脆弱性を補う
形式検証とはスマートコントラクトのコードが正しいのかどうか数学的に解説して証明することです。
過去にはスマートコントラクトを使用するイーサリアムは脆弱性が原因で多額の資金が流出していることからスマートコントラクトの安全性に疑問を抱く人もいました。
しかし形式検証によって、数理的にプログラムが好ましい性質を持っていることを証明することで、スマートコントラクトでの不正取引を防げます。
TezosはMichelsonという独自言語で構成され、クライアント自体はOCaml(オキャムル)という言語で書かれています。
OCamlは形式検証領域において最も支持されている言語で、このシステムによってスマートコントラクトの脆弱性を補っています。
Tezosはこの形式検証が行えるように設計されています。そのためスマートコントラクトの安全性の担保をプロトコルレベルで高められるわけです。
LPoS(liquid proof of stake)でより分権的に
LPoSとは従来のPoS(Proof of Stake)、DPoS(Delegated Proof-of-Stake)を更にTezosが改良した仕組みで、数万件以上という多くのバリデーター(妥当性の確認を行う機能やソフトウェア)でも作動するため、今まで以上に分散的・民主的になっています。
従来のビットコインなどで使われていた仕組みであるPoWでは消費電力の多さや、開発費用などの問題がありました。
そこで新たなコンセンサスアルゴリズムとしてPoS、保有しているコイン数に応じて投票権を付与するというDPoSという仕組みが誕生しました。
以下のステーキングについて記載している記事内で詳しく記載しているのでこちらも参照にしてください。
PoWの発展形のPoSですが、技術不足によりバリデーターが制限されてしまうという問題がありました。
そこでTezosは更に承認を行えるバリデーターを増やすという目的のもと、LPoSを開発しました。
数万件以上のバリデーターを用いても正常に作動することから、さらに多くのステークホルダーが投票に参加できるようになりました。
このように従来以上の公平性・民主制・分権性が担保されるようになった仕組みがLPoSというわけです。
Tezosの歴史
Tezosは、過去にトークン発行による資金調達「ICO」によって2017年に約260億円相当の資金調達を成功させました。
しかし、その後Tezosは財団の会長「ヨハン・ガーヴァース氏」と、開発者である「キャスリーン・ブライトマン氏」夫妻が対立し、内紛が起きてしまいました。
この内紛から資金調達後にTezosのプラットフォーム立ち上げが無期限で延期され、トークンが一時配布されないといった事態に見舞われました。
すると「ICO」に出資した多くの投資家が「TezosのICOは詐欺だ!」と調査及び集団提訴を起こしました。彼らは出資した分を取り返そうとしたのです。
しかし2018年2月、米国証券取引委員会(SEC)は、2017年11月に提出されたTezosに対する集団訴訟で原告の代表として行動していた弁護士David Silverの情報公開法を介した要請に対して、Tezosに関する情報の提供を拒否しました。
2018年2月中旬、Tezosプロジェクトへの投資家はGeversを含むTezos Foundationの2人の取締役が自主的に辞任することを決定したため、ネットワークが立ち上がるという楽観を得ました。
新たな取締役にはテゾスのコミュニティメンバーであるミハル・マウニーとライアン・ジェスパーソンに取って代えられました。
集団提訴の後、2018年8月に支払い請求が裁判所で正式に却下される形で収束となりました。
その後Tezos財団は、2018年9月にメインネット立ち上げを発表し、無事ローンチとなりました。
Tezosのまとめ
Tezosとはどういうものなのか、Tezosのメリットなどは分かっていただけたでしょうか?
- 形式検証でスマートコントラクトの安全性が担保されている
- 分裂することなく、修正、新機能追加を行うことができるため安心して保有できる
- LPoS、オンチェーンガバナンスにより公平かつ民主的なブロックチェーンシステムである。
これからの発展に大いに期待することができるTezos。もう目が離せませんね!