「State of Stake(ステーキング市場動向)」は、ブロックチェーンファンドであるParadigmが隔週で配信しているProof-of-Stake(PoS)エコシステムのキュレーションレポートです。マスターノードコイン、配当トークン、DeFiレンディングプロトコルもカバーしています。この記事では、5月2日~16日の開発をまとめた第20号の要点(前半)をご紹介します。
PoS市場概況
データサイトStaking Rewardによると、現在のステーキング市場規模は142.7億ドル(1兆5,370億円)で、過去2週間で3.4%減少しました。仮想通貨市場全体の時価総額は4%増加しています。この期間はビットコインの半減期もあり、ビットコインに資金が集中したと考えられます。
◆テゾス(XTZ)が急成長
4月にEOSを超えたTezos(XTZ)は、最大のステーキングネットワークとしてさらにリードを広げています。
◆ステーキングの価値はまだまだ上がる
ステーキング資産総額/報酬率/年間希釈率 引用:stakingrewards.com
ステーキングにロックされた資産の総額は約84.6億ドル(9,110億円)に上っています。平均報酬率は15.74%であり、1年後にステーキング報酬として12億6,900万ドル以上(1,366億円)の価値が生成される算段です。
◆テゾスのステーキング率は脅威の75%越え
引用:stakingrewards.com
こちらは、主要なプロジェクトの供給量に対するステーキング率です。Tezosはバリデーターに「委任」するときにロックアップ期間がなく、いつでも送金できる(「Liquid PoS」)ため、高ステーキング率を維持しています。
PoSおよびDPoSネットワークの進化
2017年5月にICOを行い、2018年にメインネットを立ち上げたTezosはPoS市場初期のリーダーとなっています。ブロックチェーン調査機関であるMessariは「PoWネットワークとは異なり、PoSネットワークに先行者メリットはない」と述べています。メインネットローンチが迫る有望なPoSプロジェクトについては、後半でご紹介します。
PoSブロックチェーンのDeFi市場の開発
分散型アプリケーションのProvableは、EOSとEthereum上でビットコインの互換性トークン「pBTC」のリリースを発表しました。ビットコイン(BTC)の保有者は、EOSエコシステム全体でBTCを使用することができます。Provableの「pBTC」は、ビットコインの価値と1:1で紐づけられたトークンです。EOSメインネット上でビットコインの「ペグイン」によりpBTCを発行でき、pBTCはEOSのどのdAppでも使用できます。反対にpBTCを「ペグアウト」することで、ビットコインを償還できます。
◆テゾスとTokenSoftがDeFiパートナーシップ提携へ
Tezos Stable Technologiesは、セキュリティトークン発行プラットフォームTokenSoftとのDeFiパートナーシップを発表しました。両者は共同で、Tezosの最初のステーブルコイン「USDtz」の発行・償還を目的とするプラットフォームを構築します。USDtzは単なるステーブルコインではなく、セキュリティ(有価証券)としてリリースされるため、規制されたプラットフォームでのみ利用可能になります。
また5月25日にOntologyは、分散型金融サービスとdAppsのAave(レンディング)、1inch(分散型取引所)、KyberNetwork(分散型取引所)との協業を開始することを発表しました。この提携によりプラットフォームの垣根を越えた取り組みやマーケティング展開が期待されています。
後編はこちら
参考 State of Stake #20medium