仮想通貨取引よりもお得なステーキングの基礎

仮想通貨イーサリアムはステーキング導入で商品からデジタルボンドへ

トロントの証券取引所であるNEOエクスチェンジで上場しているイーサリアムの投資ファンドEther Capitalが、「仮想通貨イーサリアム(ETH)のステーキングが新しいデジタルボンド(債券)である」と主張しています。今回はその内容をご紹介します。

論文の著者でありステファン・クーリカン氏が社長を務めるEther Capitalは、仮想通貨ETHをバランスシート上で管理している先駆的な上場企業です。氏によれば、ETHは生産的な資産に変わりつつあり、世界はまだそのことに気づいていません。

今年後半にイーサリアムがステーキングに移行すると、時価訴額339億ドルのETHは利回り付きのインストルメントに変わります。ETHは単なるバーチャルな商品(コモディティ)から配当が支払われる金融資産のようなものになります。

ばしばビットコインはデジタルゴールドで、ETHはデジタルオイルと言われますが、ステーキングにロックされたETHはさながら「デジタルボンド」と言えます。
従来の債券とは異なり、デジタルボンドにはカウンターパーティリスクがありません

レンディングも利回りを提供しますが、これは「本質的利回り債券」ではありません。ビットコインを貸仮想通貨プロバイダーに貸し出すことにはカウンターパーティリスクが伴い、プロトコルリスクを委託する分の利率が目減りします。

ステーキングが通常のレンディングと異なるポイントは、カウンターパーティリスクがないということです。

ステーキングと伝統的な金融

伝統的な金融は金利と配当の重要性を理解しています。そのキャッシュフローと複利成長の重要性を理解しています。

しかし投資の専門家、銀行家、エコノミストはビットコインのコンセプトにようやく慣れた所のため、イーサリアムにはまだ慣れていません。

そして、ステーキングは現在のゲームを変えます。ステーキングを使用すると、元の資本基盤を処分したり、追加のリスクを発生することなく、保有資産を複利的に現金化できるからです。

ステーキングは仮想通貨をデジタルゴールドから複利成長の可能性のある資産に移行するものです。賭けられたETHは金よりも農地となります。つまり金は価格の上昇を期待して投資する商品で、一方の農地は複利的成長の可能性を持つ資産です。キャッシュフローを生成して再投資することで、資産を増やすことができます。

ETHの価格が将来どれほどになるか、実際の利回りがどの水準になるかは定かではありません。利率はステークされたETHの総数の計算式であり、稼働するまではわかりません。それでも、両方の指標についていくつか考えてみましょう。

まず、価格について。ETH 2.0(ステーキングが開始される)以後、ETHは、金やビットコインに比べて希少性が高まります。イーサリアムのインフレ率は、ステーキング量にもよりますが、現実的には1.0%未満になると予想する人もいます。

次にステーキングの報酬率について、初期に2桁、徐々にステーキング参加者が増加するにつれて1桁に低下する可能性があります。Ethereum 2.0が2、3年でフル稼働になると、ステーキングされたETHの総量がはるかに多くなると仮定できます。

出典:ConsensysのETH2.0計算機

イーサリアムのデジタルボンドは、資産クラスとしての仮想通貨にとって重要なマイルストーンになります。フィナンシャル・タイムズがETHの利回りを国債、債券、配当株の利回りと比較する時代からそれほど遠くないかもしれません。

イーサリアムのスマートコントラクトを利用したMaker、Compound、UniswapおよびAugurのような次世代の金融インフラが確立すれば、従来の金融市場の財務で仮想通貨をより真剣に検討する必要が生じるでしょう。

仮想通貨イーサリアムは「本質的利回り債券」のデジタル・パラダイムを実現させようとしています。今、皆様が宿題に取り組んでおくことで、文字通り将来の配当を得られるようになるはずです。

参考 Ether: The Birth of the Digital Bond